ChatGPTで調べ物や文章作成はしているものの、資料を集め、表にし、確認して共有するところまでは自分で進めている。
ChatGPT Workは、このように複数の工程が続く仕事を扱うためのモードです。 通常のChatより長い調査や成果物づくりを担当し、資料、接続したアプリ、必要に応じてデスクトップ上のファイルを使いながら作業を進めます。
2026年7月11日現在、OpenAIはChatGPTを「Chat」「ChatGPT Work」「Codex」という三つの使い方に分けて案内しています。 Chatは相談や検索、Workは調査と成果物作成、Codexはソフトウェア開発に向いています。
ただし、Workへ業務を丸ごと渡せばよいわけではありません。 参照資料、完成形、確認する人を先に決めると、仕事を任せる範囲を安全に広げられます。
ChatGPT Workとは
ChatGPT Workは、調査、情報の分析、文書、表計算、プレゼンテーション、レポート、サイト作成など、まとまった成果物が必要な仕事を進めるためのChatGPTのモードです。
OpenAIの案内では、Workは利用を許可されたツール、ファイル、デスクトップアプリから文脈を集め、進め方を考え、成果物を作るものと説明されています。 単発の答えを受け取るだけでなく、複数の資料を使って仕事の下書きや完成版を作る場面に向きます。
たとえば、会議メモ、既存の案内文、開催情報を渡して「勉強会のWeb案内、LINE用告知、当日の進行表を作る」と依頼できます。 Workが作成した内容を確認し、日時や固有名詞を人が確定してから共有する流れです。
Workが利用できる場所と機能は、契約プラン、ワークスペース設定、地域、段階的な提供状況によって変わります。 デスクトップ版のWorkは、許可した範囲でローカルファイルやデスクトップアプリを扱えます。 Web版とモバイル版のWorkはクラウド上で動くため、パソコン内のファイルへ直接アクセスするものではありません。
根拠となる公式案内は、ChatGPT Work and Codexで確認できます。
Chat、ChatGPT Work、Codexの使い分け
三つのモードは、性能の上下ではなく、仕事の種類で選びます。 一つの仕事の中で、Chatで考え、Workで資料を作り、Codexで実装する使い方もできます。
| モード | 向いている仕事 | 依頼の例 |
|---|---|---|
| Chat | 相談、検索、要約、短い下書き | 「この制度改定の要点を3つに整理して」 |
| ChatGPT Work | 調査、複数資料の整理、文書、表計算、レポート、サイトの作成 | 「添付資料を根拠に、経営会議用の月次レポートを作って」 |
| Codex | コードの実装、テスト、デバッグ、リポジトリの確認 | 「この仕様を基に、既存サイトの予約フォームを修正してテストして」 |
Workは、ソフトウェアを実装する専門モードではありません。 コードを書き、コマンドを実行し、テストやレビューまで行う作業はCodexに任せます。
一方、企画書、要件の整理、既存資料からの論点抽出はWorkが扱いやすい領域です。 Webアプリを作る場合は、Workで利用者、業務の流れ、完成条件を整理し、Codexで実装とテストを進めると、手戻りを減らしやすくなります。
中小企業でのAIエージェント活用の考え方は、チャット型AIとAIエージェントの違いを解説した記事も参考になります。
ChatGPT Workでできること
Workで作れるものは、文章だけではありません。 公式ヘルプでは、文書、表計算、プレゼンテーション、レポート、分析を作成または編集できると案内されています。
Google Workspaceのアプリが有効で接続されている環境では、Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドを直接作成または編集できる場合があります。 利用できる操作は、ファイルの種類、プラン、ワークスペース設定によって異なります。
- 資料作成:既存の案内文やテンプレートを参考に、報告書、提案書、会議資料の下書きを作る。
- 表計算の整理:売上データやアンケート結果を整理し、確認すべき増減やグラフ案を出す。
- 複数資料の照合:議事録、メール、資料から決定事項、未決事項、次の担当を抜き出す。
- 広報物の作成:一つの確定情報を基に、Webページ、LINE、メールなど媒体ごとの原稿を用意する。
- サイトのたたき台:目的、構成、文章、画面案を基に、共有しやすいサイトや社内用ページを作る。
既存ファイルの形式や数式、ブランド表現を保ちたい場合は、依頼時に「変更しないもの」を書きます。 OpenAIも、表計算ではシート、列、数式、グラフを、プレゼンテーションでは章立てや表示確認を指定するよう案内しています。
作成と編集の流れは、ChatGPT Workで文書、表計算、プレゼンテーションを作成・編集する方法で確認できます。
最初に試す仕事の選び方
最初の一件は、毎月または毎週繰り返し、完成形が人の目で判定できる仕事を選びます。 「何でも任せる」よりも、対象を一つに絞ったほうが、期待した成果との違いを修正しやすくなります。
広報物をまとめて作る
開催日時、会場、講師、申込方法が確定した勉強会は、Workを試しやすい題材です。 同じ情報から、Web案内、LINE用文章、受付用チェックリスト、開催後の報告書のひな型を作れます。
人が確認するのは、日時、会場、講師名、申込先、公開する文章です。 Workには「確定していない情報を補わない」と条件を渡します。
月次レポートの下書きを作る
売上や問い合わせ件数など、社内で扱ってよい範囲に整理したデータから、前月との差分、確認したい項目、会議用の文章案を作れます。 数字の解釈や意思決定を任せるのではなく、集計範囲と計算結果を人が確認する前提にします。
Web制作の要件をまとめる
商談メモ、既存サイト、サービス資料を基に、目的、対象者、必要なページ、問い合わせ導線、公開前の確認項目を要件として整理できます。 実装の前に決めることが文章になれば、依頼先や開発担当と確認する内容がそろいます。
患者情報、利用者情報、決済情報など漏えい時の影響が大きい情報を含むWebアプリは、WorkやCodexだけで設計を完結させるものではありません。 権限設定、保存先、契約、運用ルールを含めて、エンジニアへ相談してください。
成果物まで進める依頼文の書き方
Workには、質問文よりも業務指示書に近い形で依頼します。 目的、参照資料、成果物、対象者、条件、確認基準を分けると、AIが推測で補う範囲を小さくできます。
【目的】
月次の経営会議で、売上の変化と次月に確認する点を共有する。
【参照資料】
添付した売上集計表と前月の会議資料だけを使う。
資料にない数値や理由は推測で補わない。
【作成する成果物】
1. A4で2ページ以内の月次レポート
2. 会議で確認する質問を3件
3. 元データと照合するためのチェック項目
【対象者】
数値の専門家ではない経営者と現場責任者。
【条件】
増減率は計算式と集計範囲を記載する。
個人名、顧客名、詳細な取引内容は出力しない。
【完成条件】
表の合計と本文中の数値が一致していることを確認する。
確定できない原因は「要確認」と明記する。
依頼の前に、渡してよい資料だけを選びます。 完成後は、数値、固有名詞、出典、計算範囲、外部へ共有する操作を人が確認します。
Workの公式ページで案内されているPlan modeでは、作業前に文脈を集め、質問をし、手順を示します。 計画を確認してから進めれば、途中で意図と違う仕事が始まることを抑えられます。
アプリ連携とScheduled Tasksの注意点
アプリは、ChatGPTから外部の情報や操作につなぐ仕組みです。 2026年7月時点では、アプリを含む機能を見つける場所はプラグインディレクトリへ移行しています。
プラグインディレクトリにあるプラグインは、作業の手順を示すスキルや、外部データと操作をつなぐアプリなどをまとめた単位です。 アプリ自体が、ファイル検索、情報の参照、同期、外部サービスへの書き込み操作を担います。
アプリで外部サービスを更新する場合、利用者または管理者が許可した範囲でしか操作できません。 特にBusiness、Enterprise、Eduでは、管理者がアプリの利用、ユーザーの役割、読み取り専用か書き込み可かを設定できます。
Scheduled Tasksは、一度だけの実行、定期実行、変化の監視を依頼する機能です。 たとえば、毎週の業界ニュースの確認や、毎月のレポート準備をスケジュールできます。
ただし、タスクは関連チャットを削除すると停止します。 接続アプリを使えるかどうかも、アカウントの権限とワークスペース設定に依存します。
アプリの権限はApps in ChatGPT、タスクの仕様はScheduled Tasks in ChatGPTで確認できます。
個人情報と最終確認の扱い
ChatGPT Workが資料を扱えるからといって、社内の情報を無条件に渡してよいわけではありません。 まず、個人情報、患者情報、利用者情報、詳細な契約情報、未公開の財務情報を含むかどうかを確認します。
ChatGPT Business、Enterprise、API Platformでは、入力と出力は原則としてモデル学習に使われません。 個人向けのChatGPTやCodexは、設定によってコンテンツがモデル改善に使われる場合があり、設定画面のData Controlsからオフにできます。
この違いは、個人向けサービスに機微な情報を入力してよいという意味ではありません。 利用する契約、所属組織の規程、アプリの権限、情報の匿名化を確認し、患者を特定できる情報や医療判断をAIへ渡したり、AIの出力だけで決めたりする運用は避けます。
公開、送信、契約、発注、医療や労務の判断に関わる成果物は、担当者が根拠と内容を確認して確定します。 AIは下書き、整理、確認漏れの発見を助ける役割として使うと、責任の所在を保ちやすくなります。
データ利用の方針は、How your data is used to improve model performanceで確認できます。
ChatGPT Workを始める手順
- 繰り返し発生し、完成条件が決まっている仕事を一つ選ぶ。
- 渡してよい資料だけを集め、個人情報や未確定情報を外す。
- 成果物の形式、対象者、変更してはいけない条件、確認する人を依頼文に書く。
- Workが作った計画と下書きを確認し、修正を依頼する。
- 数値、固有名詞、出典、外部に影響する操作を人が確認してから使う。
「毎月二時間かかる集計」「同じ情報を複数の媒体に転記する告知」のように、手順と完成形を説明しやすい仕事から始めると、効果と改善点を比べられます。
会社全体への導入を考える場合は、中小企業の生成AI導入ロードマップで、目的、利用ルール、試す業務、効果測定を順に決める方法を紹介しています。
用途を分けて、確認できる仕事から任せる
ChatGPT Workは、質問への短い回答では終わらない仕事を進めるためのモードです。 資料を集め、調査し、文書や表にまとめ、必要に応じてアプリと連携する作業に向いています。
相談や検索はChat、まとまった調査と成果物づくりはWork、ソフトウェア開発はCodexという役割分担が出発点になります。 まずは参照資料と完成条件が明確な仕事を一つ選び、人が確認する前提で試してください。
参考資料
- OpenAI:ChatGPT Work
- OpenAI Help Center:ChatGPT Work and Codex
- OpenAI Help Center:Creating and editing documents, spreadsheets, and presentations with ChatGPT Work
- OpenAI Help Center:Apps in ChatGPT
- OpenAI Help Center:Scheduled Tasks in ChatGPT
- OpenAI Help Center:How your data is used to improve model performance


