ChatGPT Workの機能は分かっても、「自社では何を任せればよいのか」が決まらないことがあります。
Pharmapiaでは、ChatGPT Workを競合調査、最新情報のリサーチ、営業先の調査、セミナー準備、業務ブリーフの作成に使っています。
どれも、一問に答えてもらうだけの使い方ではありません。 複数の情報を集め、比べ、実際に使う資料へ整えるところまでを一つの仕事として依頼しています。
この記事では、Pharmapiaでの実際の使い方を中心に、OpenAIが公開している企業事例や利用者の報告も照合しながら、ChatGPT Workへ任せやすい業務を紹介します。
ChatGPT Workの基本機能やChat、Codexとの違いを先に確認したい場合は、ChatGPT Workとは?使い方とできることを解説をご覧ください。
ChatGPT Workで効率化しやすい仕事
ChatGPT Workで効率化しやすいのは、文章作成だけではありません。
実務では、情報を探す、複数の資料を比べる、必要な部分を抜き出す、表や文書に整えるという工程に時間がかかります。 ChatGPT Workは、これらの工程をつなげて成果物の初稿まで進める仕事に向いています。
OpenAI Academyの日常業務向けガイドも、カレンダー、メール、社内メッセージ、文書、表計算、進捗表など、すでに仕事で使っている情報を渡し、確認可能な報告書や計画書へ変える方法を紹介しています。
Web、メール、資料、表
差分、論点、要確認事項
表、報告書、進行表
出典、数値、判断、公開
次の条件がそろう業務は、最初の候補にしやすくなります。
- 情報が複数の場所に分かれている
- 毎回、似た調査や転記を繰り返している
- 完成させたい表や文書の形が決まっている
- 元資料と成果物を人が照合できる
一方、「売上を増やして」「業務を改善して」のように、対象も完成条件も決まっていない依頼では、調査範囲が広がりすぎます。 何を調べ、何を作り、誰が何を確認するかを先に決めます。
Pharmapiaで実際に使っている5つの業務
Pharmapiaでは、ChatGPT Workに判断を丸ごと任せていません。
Workは調査、比較、整理、初稿作成を担当し、運営者が調査条件、出典、固有名詞、最終判断を確認します。 以下は、現在実際に使っている5つの業務です。
1. 競合調査
競合調査では、会社名を並べて特徴を聞くだけでは、比較基準がそろいません。 各社について調べる項目が違うと、見栄えのよい比較表ができても判断には使いにくくなります。
Pharmapiaでは、ChatGPT Workを競合調査に利用しています。
この業務を依頼するときは、先に比較する地域、対象顧客、料金、提供内容、申込方法、サポート、更新日などの条件を決めます。 そのうえで、各社の公式サイトや公開資料を調べ、同じ項目で比較表にするよう指定します。
Workへ渡す情報
- 調査の目的
- 比較する会社やサービス
- 対象地域と想定顧客
- 比較項目
- 参照を優先する公式サイト
作らせる成果物
- 競合比較表
- 自社と異なる点
- 情報を確認できなかった項目
- 次に確認する質問
- 参照したページと確認日
人が確認するのは、出典の内容、料金の条件、情報の新しさ、比較基準の公平さです。 Workが「強み」と評価した表現も、そのまま事業判断には使わず、元資料へ戻って確かめます。
OpenAIが紹介するVirgin Atlanticの事例でも、顧客体験の評価項目と競合会社を指定し、各社のサービスを調査して比較用データを作っています。 同社の事例では、従来は数週間かかっていた分析が数時間へ短縮されたと報告されています。
2. 最新情報のリサーチ
最新情報の調査では、検索結果の上位記事だけを読むと、古い内容や二次情報が混ざります。
Pharmapiaでは、ChatGPT Workを最新情報のリサーチに利用しています。
この業務では、発表日と出来事が起きた日を分け、公式発表、行政機関、企業のヘルプページなどを優先するよう指定します。 情報が更新されやすいAIサービスでは、調査日も成果物へ残します。
Workへ渡す情報
- 調べるテーマ
- 調査対象期間
- 優先する一次情報
- 知りたい変更点
- 既存情報と比較する基準
作らせる成果物
- 最新情報の一覧
- 以前から変わった点
- 実務への影響
- 未確認の項目
- 出典URLと更新日
この使い方で減らせるのは、検索結果を何度も開き、発表日を確認し、同じ内容を表へ転記する工程です。 情報の正しさを自動的に保証するものではないため、記事や提案へ使う前に一次情報を再確認します。
3. 営業先のリサーチ
営業前の調査では、会社概要だけを読んでも、相手に合わせた提案にはつながりません。
Pharmapiaでは、ChatGPT Workを営業先のリサーチに利用しています。
この業務では、営業候補の公式サイト、サービス内容、採用情報、公開されているニュースなどを調べ、相手が現在力を入れていることや、提案前に確認すべき点を一枚へまとめる方法が考えられます。
Workへ渡す情報
- 営業先の会社名と公式サイト
- 自社が提供できるサービス
- 今回の提案目的
- 調べてよい情報の範囲
- 提案で断定してはいけないこと
作らせる成果物
- 会社と事業の要約
- 現在公開されている取り組み
- 提案との接点
- 商談で確認する質問
- 営業前の一枚資料
Workが推測した課題を「相手企業が困っている事実」として扱うことはできません。 公開情報から確認できた事実と、商談で確認する仮説を分けて記載させます。
OpenAIの営業チーム向け案内でも、CRM、商談記録、メール、社内メッセージなどをまとめ、商談前資料、フォロー案、進行中案件の確認資料を作る使い方が紹介されています。
4. セミナー準備
セミナー準備では、案内文、スライド、当日の進行、配布資料、想定質問を別々に作ると、日時や説明がずれやすくなります。
Pharmapiaでは、ChatGPT Workをセミナー準備に利用しています。
この業務では、対象者、開催目的、時間、伝えたい内容、参考資料をまとめて渡し、一つの確定情報から複数の成果物を作らせる方法が考えられます。
Workへ渡す情報
- セミナーの目的と対象者
- 開催日時と所要時間
- 伝える内容と扱わない内容
- 参考資料
- 過去の案内やスライド
作らせる成果物
- セミナー構成
- スライドの下書き
- 当日の進行表
- 配布資料
- 想定質問と確認事項
- 告知文の下書き
同じ資料から一式を作ると、内容の不一致を見つけやすくなります。 開催日時、登壇者名、申込先、数値、引用、医療や制度に関する説明は、人が原本と照合してから使います。
OpenAIが紹介するNVIDIAのイベント運営事例では、顧客の登録状況、面談予定、営業チームの準備状況を整理し、開催後は多数の講演記録と面談メモを分析しています。 同社は、イベント前の作業時間の約40%を占めていた手集計を、繰り返し実行できる流れへ変えたと説明しています。
5. 業務ブリーフ
一日の予定や優先事項は、カレンダーだけでは決まりません。 返信が必要なメール、前日の決定事項、進行中の仕事、会議前に読む資料も確認する必要があります。
Pharmapiaでは、ChatGPT Workを業務ブリーフの作成に利用しています。
この業務では、利用を許可した情報から、今日確認すること、返信が必要な連絡、会議の準備、判断待ちの項目を短い業務ブリーフへ整理させる方法が考えられます。
Workへ渡す情報
- カレンダー
- 対応が必要なメールやメッセージ
- 進行中の仕事
- 前回の決定事項
- 優先順位の基準
作らせる成果物
- 今日の優先事項
- 返信が必要な連絡
- 会議前の準備
- 判断が必要な項目
- 後回しにできる項目
OpenAIの公式ユースケースでも、カレンダー、メール、Slack、Google Driveなどから、その日の優先事項、会議準備、返信、未決事項を一つのブリーフへまとめる流れが紹介されています。
ただし、Workが付けた優先順位は確定ではありません。 締切、相手との関係、現場の事情を踏まえ、最終的な順番は人が決めます。
5つの業務に共通する安全な任せ方
5つの業務は内容が異なりますが、安全に任せるための依頼方法は共通しています。
調査より先に完成物を決める
「競合を調べて」では、調査範囲が広がります。
「経営者が10分で比較できる一枚の表を作る」「商談前に読むA4一枚の資料を作る」のように、完成物から指定します。 必要な情報が決まるため、関係の薄い調査を減らせます。
事実と仮説を分ける
営業先の課題や競合の狙いは、公開情報だけでは確定できません。
成果物では、出典で確認できた事実、Workによる整理、商談や追加調査で確認する仮説を分けます。 この区別があれば、もっともらしい推測を事実として使う誤りを減らせます。
確認できなかった項目も出させる
空欄をWorkが推測で埋めると、表は完成しても信頼性が下がります。
「確認できない項目は未確認と書く」「使ったURLと確認日を残す」と依頼します。 未確認の箇所が見える成果物のほうが、人は短時間で確認できます。
送信と公開は分ける
営業メール、セミナー告知、社内共有文は、下書き作成と送信を分けます。
宛先、日時、固有名詞、金額、外部リンクを人が確認し、送信または公開を確定します。 取り消しにくい操作を確認点にすることで、調査と資料作成は広く任せながら、外部への影響を管理できます。
企業事例から見える活用範囲
Pharmapiaの使い方は、小規模な仕事だけに限られたものではありません。 OpenAIの企業事例では、複数の企業が同じ構造の業務へChatGPT Workを使っていると紹介されています。
| 企業 | 集める情報 | 作成する成果物 | 公表された変化 |
|---|---|---|---|
| Virgin Atlantic | 競合各社の顧客体験 | 比較用データセット | 数週間の分析を数時間へ短縮 |
| Zapier | CRM、メール、顧客との接点 | 対応漏れを示す週次ダッシュボード | 見落としていた商談候補を発見 |
| NVIDIA | 登録状況、面談予定、開催後の記録 | イベント準備と評価資料 | 事前作業の約40%を占めた手集計を定期化 |
| RingCentral | 計画、タスク、顧客メール | 遅延、担当者、次の行動を示す報告書 | 多数の案件を共通形式で確認 |
これらの数値は各社の個別事例です。 ChatGPT Workの平均的な時間短縮率を示すものではありません。
SNS上の利用者投稿では、教師が複数のファイル、メモ、アイデアを年間カリキュラムへまとめ、本人の申告では、2週間ほどかかると見込んだ転記と整形を約15分で完了したと報告しています。 この報告も第三者が検証した数値ではないため、個人の利用例として扱う必要があります。
最初に試す仕事の選び方
最初から会社全体の情報をつなぐ必要はありません。
Pharmapiaで使っている5つの中では、公開情報だけで始められる競合調査や営業先調査が試しやすい候補です。 外部サービスとの接続を増やさず、調査結果と出典を人が確認できます。
次の候補は、確定済みの資料を使うセミナー準備です。 一つの情報から構成、進行表、配布資料を作らせると、成果物まで進める使い方を試せます。
業務ブリーフは効果を感じやすい一方、メールやカレンダーへの接続権限を確認する必要があります。 最初は対象期間と参照先を限定し、読み取りと下書き作成から始めます。
- 公開情報だけで試す:競合調査、営業先調査
- 手元の確定資料で試す:最新情報の整理、セミナー準備
- 接続範囲を限定して試す:業務ブリーフ
- 結果を記録する:作業時間、修正回数、確認で見つかった誤り
会社全体へ広げる前に、同じ業務を2、3回試します。 手作業の時間だけでなく、修正と確認にかかった時間も記録すると、実際に効率化できたかを判断できます。
AI導入の進め方は、AIを現場で使える会社にする7つの手順でも解説しています。
成果物まで進める依頼文
実際の依頼では、目的、参照する情報、作成するもの、推測してはいけないこと、確認条件を分けます。
【目的】
営業前に、相手企業の状況と商談で確認する内容を把握する。
【調査対象】
指定した会社の公式サイト、公式発表、採用情報を優先する。
調査日は今日とし、古い情報には確認日を付ける。
【作成するもの】
1. 会社と事業の要約
2. 現在公開されている取り組み
3. 当社サービスとの接点
4. 商談で確認する質問
5. 参照したURLの一覧
【条件】
公開情報で確認できた事実と、商談で確認する仮説を分ける。
確認できない項目は推測で埋めず、「未確認」と記載する。
個人の私生活や営業目的と関係のない個人情報は収集しない。
【完成条件】
A4一枚で読める営業前ブリーフにする。
各事実から参照元を確認できるようにする。
メール送信や外部サービスの更新は行わない。
この形式は、競合調査、最新情報の整理、セミナー準備、業務ブリーフにも転用できます。 調査対象と成果物を入れ替え、確認条件は残します。
医療、介護、薬局で変えてはいけない範囲
医療、介護、薬局では、業務効率化と専門判断を分けます。
ChatGPT Workへ任せやすいのは、公開情報の調査、匿名化した集計、会議資料、研修資料、確認項目、文章の下書きです。
次の情報や判断は、今回紹介した活用例に含みません。
- 患者、利用者、従業員を特定できる情報
- 服薬情報や相談記録
- 診断、治療、処方、服薬指導の判断
- 診療報酬や介護報酬の最終判断
- 契約、発注、支払いの確定
- 人による確認前の公開や送信
利用する契約、組織内の規程、接続するアプリの権限を確認し、渡してよい情報だけを選びます。 漏えい時の影響が大きい情報を扱う仕組みを作る場合は、エンジニアへ相談してください。
ChatGPT Workへ任せる仕事を一つ決める
ChatGPT Workは、質問への回答より長い仕事を進められます。
Pharmapiaでは、競合調査、最新情報、営業先、セミナー、日々の業務という、内容の異なる仕事へ使っています。 それぞれに共通するのは、情報を集めて終わらず、人が確認できる表や資料まで作らせていることです。
最初の一件は、公開情報だけで完了し、正しさを自分で判断できる仕事から選びます。 完成物、出典、確認する人を決めてから依頼すれば、効果と課題を比較できます。



